
07/16 (金)更新
外国人が日本で働く為に必要な日本語能力レベルは?日本語能力試験(JLPT)とは
日本語能力試験(JLPT)は世界で最も受験者数の多い日本語の試験です。
最高レベル(N1)を持っていると評価や採用に有利な教育機関や企業も多く、メリットが多いため、日本語能力試験の受験者数は年々増えています。
また日本に来日している「技能実習」の在留資格を取得した外国人達は、「日本語能力試験」の国が定めたレベルに合格しています。
今回はこの日本語能力試験について、そして企業で外国人が働く為にはどのレベルの日本語が必要なのかを説明していきます。
日本語能力試験とは
日本語能力試験とは、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定する試験です。
略称はJLPT「Japanese-Language Proficiency Test」といい、1984年に誕生以来、35年以上の歴史があります。世界で最も受験者数の多い日本語の試験です。
日本語能力試験は、『日本語の文字や語彙、文法についてどのくらい知っているか』『日本語の知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるか』このようなポイントが基準となっています。
つまり外国人が日本人と【コミュニケーションを行う上で必要となる能力】を測る試験のことです。
日本語を母語としない外国人が「読む」「聞く」という言語行動によって日本語の能力を測り、当てはまるレベルの証明書が発行され、資格として提示することができます。
多くの企業でも、日本語能力試験のレベル(Nレベル)を元に仕事上でコミュニケーションを取れるのかを判断基準としています。
日本語検定との違い
上記で説明したように「日本語能力試験」は、日本語を母語としない外国人が対象となる試験です。
そしてよく間違えられるのは「日本語検定」という名前の試験です。
日本語検定とは、「普段から日本語を使う人」いわば日本人や日本語を一定水準以上使用出来る外国人を対象とした検定です。
試験の内容は、基礎的な日本語レベルから社会人に求められるレベルまで幅広く出題されます。
日本語能力試験レベル
日本語能力・Nレベルは、学校や企業が外国人の日本語能力を把握するうえで、重要な指標となります。
日本語能力試験では認定レベルを「N1~N5」の5段階で定めています。
(Nの画像)日本語能力試験のN1,N2,N3レベルとは?日本語検定との違いも紹介 (enzi-job.com)
日本語能力試験:N1レベル
幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
日本語能力は非常に高く、日常会話はもちろんビジネス上の会話なども理解することができ、ほとんど日本人と同じようにコミュニケーションを取る事が出来ます。
日本語能力試験:N2レベル
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、専門用語等もある程度理解することができる。
N1レベルまではいかないものの、日常会話は問題なくこなすことができ、ビジネス上でも大いにコミュニケーションを取ることができます。
日本語能力試験:N3レベル
日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
日常会話は問題ありませんが、ビジネス上の会話やニュアンスやアクセントによっては伝わらないことも多少あります。
日本語能力試験:N4レベル
基本的な日本語を理解することができる。
日本人が話す日常会話はある程度理解できますが、自発的に会話を続けるのは難しいレベルです。
日本語能力試験:N5レベル
基本的な日本語をある程度理解することができる。
挨拶や簡単な受け答えは出来ますが、コミュニケーションを満足に取るのは難しいです。
ゆっくり話しをすれば理解が出来ます。
採用に必要な日本語能力レベルとは
日本企業が外国人社員に求める日本語レベルは非常に高く、大手企業に雇用される外国人の6割が日本語能力試験N1保有者という統計が出ています。
どの企業もN1やN2レベルが欲しいところですが、実際のところ保持者は少なく、競争率も高いため採用するのは難しいと言えるでしょう。
また日本語能力に重きを置きすぎるあまり、職務上必要な能力を持っている人材の採用に至っていない場合があります。
企業の採用担当者は闇雲にN1やN2の人材のみを採用するのではなく、『会社にとって何を優先すべきか』『外国人達が何を出来るか』を見極める必要があります。
中期的にN3~N4の採用がおすすめ
コミュニケーションが取れることは、仕事をする上で前提となる重要なポイントの1つです。
Nレベルは試験に受けた時の日本語レベルなので、日本での生活や仕事を通してNレベル以上のコミュニケーション能力を育てることもできます。
中でも、N3~N4レベルの外国人は、個人差はあるものの上達スピードは速いので中長期的に見れば、N1レベル相当の人材に育てあげることも可能です。
このことからN1やN2の高レベルの人材の採用にのみ拘るのではなく、技術スキルを保有しており、伸びしろのあるN3~N4の人材に目を向けてみることを検討した方がいいでしょう。
日本語能力をNレベルだけで判断するのは難しい
ここまで説明した通り、企業が外国人の採用を測る指標として「日本語能力試験(Nレベル)」は大きなものさしとなります。
ただこの「日本語能力試験」のみで外国人の採用を決めるには、注意点もあります。
推定の日本語能力を履歴書に書いてる
外国人人材の中には、推定のNレベルを表記・自称する人もいます。
日本人でも推定の「英語能力検定」や「TOEIC」のレベルを履歴書に書いてしまう人もいます。
外国人でも実際には試験を受けてはいないのに「このレベルくらいまでならある」と推定で話を進めてしまう人もいます。
日本語能力試験では、成績証明書も発行しているので、確認することで人材とのミスマッチを防ぐことが出来ます。
日本語能力を補う為に企業の出来る事
前述で説明した通りハイレベルな日本語を操れる人材の獲得は、人材の獲得競争が起こる為、企業によっては雇用が難しい場合があります。
また日本語の能力レベルが優れていても、求めている技術スキルが無ければ意味がありません。
なので、ある一定の日本語レベルの人材を雇用して、雇用最中に能力を向上させる方法をおすすめします。
ただ出来るだけ早く会社の戦力となってもらう為には、企業側の努力も必要になってきます。
日本語学習の提供
専門学校などの日本語教師の資格を持ったプロの力を借りるのが非常に効率的です。
なぜなら日本語を話せることと、日本語を教えることは、全く別のものだからです。
日本語が流暢に話せても、読み書きができない外国人はたくさんいます。
外国人に不足している日本語能力を補うには、日本語の専門教師により段階を踏んだ、効果的なプログラムを実施するのが良いでしょう。
外国人従業員に対する日本人スタッフの話し方訓練
外国人にとってわかりづらい日本語表現や、外国人には聞き取りにくい日本語、発音しにくい日本語というのがあります。
日本人の社員を使って、常日頃から外国人の労働者にたいして学ばせるのです。
外国人スタッフと接することの多い日本人スタッフとの関わりが、外国人のスキルアップに効果的なのです。
外国語表記の掲示を増やす
外国人を採用する場合、日本語を理解できるような環境の整備・配慮が必要です。
普段触れる社内にある物に日本語や英語の表記を振り分ける事によって、いち早く日本語を覚える事が出来ます。
これらを用意するのは大変ですが、後が楽になります。2020年4月からは、助成金もスタートしました。
まとめ
今回は日本語能力レベルと、企業が外国人の日本語レベルを上げる為の手段について説明しました。
初めから高い日本語能力を持つ外国人を雇う事も重要ですが、求める技術レベルに優先して無理のない採用活動を行いましょう。
自社で外国人の日本語能力を上げる動きをする事は、外国人のレベルを上げるだけでなく、外国人と既存社員のコミュニケーションの促進にも繋がります。
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