07/09 (金)更新
製造業の人手不足?製造業のIT化と外国人導入について
日本の製造業界では今までの体制とは一変し、近年大きな変革がありました。
それは製造業界を取り巻く外部環境の大幅な変化と、少子高齢化によって引き起こされた急激な労働力の不足です。
この変革は製造業界に大きな打撃を与え、対応出来ずに経営の悪化や倒産へと追い込まれた企業も少なくありません。
この影響で日本の「ものづくり」産業が確実に毎年減少つつあるのです。
今回はこの製造業を取り巻く外部環境と人手不足について、そして現状を脱却する為の鍵となる、外国人の労働者について説明していきます。
製造業界の外部環境の変化
これまでの製造業の形態としては、ほとんどの企業は製造工程や手法に変化なく、昔ながらのやりかたで足並みを揃えていました。
ただ近年のIT化の加速により、製造の工程や手法に変化が生まれました。
またこの外部環境の変化によって求められる人材の質も大きく変わってきたのです。
①社会のデジタル化・ソフトウェア化に伴う対応
一般的にインターネットが普及してきた事から、顧客の意見がものづくりの現場に強い影響力を持つことになります。
顧客から集めた膨大なビッグデータの情報を効率的に活用する事により、求められている製品や製造品質、流通管理等がシステムにより導き出されるようになったのです。
職人気質な人材のアイディアや技術は重視されなくなり、システムの管理による製造が主流な方法となってきました。
②製造現場のデジタル化・ソフトウェア化
製造現場がデジタル化、ソフトウェア化に一進されたので、ビッグデータ分析を通して生産管理システムや工程管理システムに取り込んだり、それらを管理・操作するためのソフトウェアを操る技術者の雇用が必要となった。
②デジタル技術の到来・生産、材料技術の革新
日本の製造業が得意としてきた精密で独自製造の手法も、デジタル技術を通じて世界中で導入が可能となり、日本の製造業の優位性保持が難しくなってしまっています。
また世界的に生産技術や材料技術が断続的に飛躍的する昨今では、これら最先端の技術を理解して生産現場に取り込むことができる、または情報収集を適格に行い、活用し自社製品化できるハイレベルな技術者が必要となります。
これらの技術の進歩と少子高齢化の影響により、日本の製造業界では高い採用コストをかけなければ必要なハイレベルな技術者を手に入れられず、ベテラン人材は毎年引退していくので、若手を育てようにも採用難で思うような人材が取れない。
このような循環が製造業界では起こっており、『いかにオートメーション化に対応できる人材の確保や育成ができるか』が大きな鍵となっています。
製造業界の人手不足について
「ものづくり」と呼ばれる製造業は、円高や経済新興国の台頭に脅かされながらも、長年にわたり日本の産業発展の屋台骨となってきました。
経済産業省がおこなった調査結果によれば、製造業界の全体の94%以上が大企業・中小企業に関わらず人手不足になっていると解答しています。
特に人手不足が浮き彫りになっているのは「技能人材」と呼ばれる人材層です。
中小企業庁の定義によれば、技能人材とは「研究業務、製品開発・技術開発業務、品質・生産管理業務、製造・加工業務」の4業務に従事出来るものが「技能人材」とされています。
製造業では、ほぼ全てといえる幅広い分野において、必要とされる人材が不足しているのです。
国内の労働力人口の減少
少子高齢化によって国内の労働力人口は大幅に減少しています。
また、若手の人材は東京や大阪等の都市部に人材が集まりやすくなる傾向があります。
その反面、製造業は土地の安い地方に工場を設けている企業が多いので、人口の流出によって工場地帯では人材が確保しにくくなっています。
製造業界では価格競争に巻き込まれている現状から、待遇の向上を図ることが難しいので、求人を出しても人が集まりにくい状況となっているのです。
世代交代の失敗と後継者不足
日本の伝統的な技術継承は『言って聞かせる』『やって見せる』『やらせてみる』これのローテーションにより、若手に技術を紡いでいました。
また従来までは10年程度、現場で経験を積んだ後、調達や開発、設計といった部署に異動する事がオーソドックスな流れとなっていました。
しかし、色々な業界に人材が流動していく昨今では、より条件のよい企業へと人材が流れていってしまうため、こうした昔ながらのやり方では技術が継承されていきません。
さらに団塊の世代が大量退職した一方で、若手の人材が全く育っていないことも、人手不足を招いている要因です。
製造業界が直面している経営に対する問題として、全体の約42%が「人手不足」を挙げているます。また大企業の17.1%、中小企業の22.7%が「後継者不足」と回答しており、後継者不足の課題も徐々に浮き彫りになっています。
製造業界の一般的なイメージとは
製造業や肉体労働は、3Kと呼ばれる「きつい」「汚い」「危険」といったマイナスイメージがあり最近の若手の人材に敬遠されやすいことから、ほかの業種に人材が流れていく傾向にあります。
製造業の現場では、24時間稼働している工場なども多く、シフト勤務の入り方によってはキツいと感じる方もいます。
油や化学薬品による臭いがきつい、作業服が汚れやすいといったケースもあります。
また昔ながらの教え方は厳しく、しんどいという固定概念がついてしまっているのです。
実際には工場による違いがあるにも関わらず、負のイメージが先行することで人材が集まりにくくなっているのです。
外国人と製造業の関係性について
前述で説明した通り製造業界では、デジタル技術や最新の情報を取り入れ活用できるハイレベルな技術者の枯渇や、現状の職人の技術を継承する為の若手の人材不足等の慢性的な労働力不足に陥ています。
この製造業界の衰退の危機を救う鍵となるのが外国人労働者の存在です。
(画像)
工場の人手不足にどう対策すべきか?製造業のIT化と外国人材導入について | 外国人採用ナビ│初めての外国人採用を応援するWEBメディア (gaikokujinsaiyonavi.com)
厚生労働省が発表した『外国人労働者の現状』によると、在留資格から見ると過去5年で大きく増加したのは、技能実習生と資格外活動「留学生のアルバイトなど」ですが、「高度人材」資格にあたる専門的・技術的分野の在留資格も着実に増加していることが読み取れます。
技能実習と高度人材共に、製造業にとって最もネックとなる人員ですので、この層の入国が増加している事は非常に喜ばしい事であると思います。
技能実習と製造業の未来
技能実習制度を活用した外国人の実習生が増える事で、製造業界にとっては大きな若手の人員補充になります。
技能実習生は先進国である日本の技術を学びたくて日本へ来ているので、職人が継承していきたい技術要素を積極的に取り込もうします。
すぐに仕事を辞めてしまう日本人の若者と違い、ほとんどの外国人の技能実習生は、在留期間満期まで就労し続けますので安定して仕事を任せていく事が出来ます。
技能実習生自体の在留期間は3~5年と定められていますが、在留期間が満期になった場合でも「特定技能」資格へと移行して在留期間の延長が出来ますので、最大10年働いてもらう事が可能です。
高度人材と製造業の未来について
高度人材の日本の在留者が増えている事は製造業界にとって大変喜ばしい事です。
前半で述べた通り、この先製造業界ではIT化に対応し、最先端の技術を理解して生産現場に取り込むことができるハイレベルな技術者が必要となります。
ただこのハイレベルな人材を日本人で採用する為には高い条件を提示する必要があり、条件提示が出来たとしても募集場所によって集まらない可能性があります。
ただ「高度人材」の資格を取得している外国人の採用によってこの問題を解決へと導けます。
高度人材とはおもに「専門的・技術的分野」と呼ばれる分野において仕事をしている中長期滞在の外国人です。「技術・人文知識・国際業務」と呼ばれる就労ビザ(在留資格)を付与されている人が多く、日本における外国人労働者の約2割を占めます。製造業を技術的に支えるだけでなく、ビジネスの海外展開を担う人材としても期待されています。
日本に留学している外国人の学生が日本で就職する場合は、90%以上がこの「高度人材」として就職をします。
この外国人の「高度人材」を採用の視野に入れる事で、優秀でハイレベルな若手の人材の効率的な確保に繋がるでしょう。
新設された「特定技能」について
2018年に発表された『従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく』という考えを元に新たな在留資格が設立されました。
それが2018年12月に新設された「特定技能」という在留資格です。
この特定技能資格は、今までの在留資格の目的と異なり、日本国内で人材を確保しきれない業種の人材補填を、外国人労働者でカバーすることを目的としています。
これまでの在留資格とは?
今まで外国人が取得していた就労の為の在留資格は、簡単にいうと『替えのきかない特別な技能等を持つ高度人材』『国際協力を目的とした技能実習生』ということになっていました。
その為、国内で人手不足を起こしていた『誰にでもできる』と見なされて該当する、単純労働を行う業務に従事する事が出来なかったのです。
ただこの新設された「特定技能」資格では、日本国内で人材を確保することが難しい14業種を対象として外国人が働けるようになったのです。
この「特定技能」資格は、初めて「人手不足」「生産性の向上」を目的として認可された在留資格といえます。
特定技能資格の概要
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。
これらの違いはまず取得の難易度にあり、2号の方が取得は難しいです。
「特定技能1号」は既存の在留資格「技能実習2号」からの切り替えが可能とされています。
なので「技能実習生」として既に日本で働いていて、在留期限が切れてしまい母国に帰らなければならない場合でも、本人が希望するのであれば「特定技能」に資格を移行して在留期間を延長する事が出来ます。
特定技能1号
介護 | ビルクリーニング | 農業 | 漁業 | 飲食料品製造業 | 外食業 | 素形材産業 |
産業機械製造業 | 電気・電子情報関連産業 | 建設業 | 造船舶用工業 | 自動車整備業 | 航空業 | 宿泊業 |
特定技能1号の取得条件としては、業務上必要な日本語能力と、ある程度の実習訓練を積んで業務に従事する事が出来れば取得できます。
特定技能1号では最長5年間、日本に滞在する事が出来ます。
特定技能2号
建設業 | 造船舶用工業 |
特定技能2号では、1号と従事出来る業種は同じです。
また日本語能力の条件も特段ありませんが、1号と違い『熟練した技能』が必要になります。
この特定技能2号を受け入れる事は、日本産業の大きな発展へ繋がるので在留出来る期間に制限も特段設けられていません。
特定技能では転職の自由が認められている
特定技能と似た外国人の受け入れ方法として、「技能実習」というものがあります。
技能実習では特定技能と同様、日本国内での人材確保が難しい業種で外国人労働者を一定期間雇用することができます。
しかし、技能実習生の名目は【国際協力】なので就労を目的としたものではありません。
なので技能実習ビザは就労ビザとは異なるものなので、転職が出来ません。
母国に日本の技術を持ち帰る為に在留しているので、従事する作業内容まで厳密に決まっていて、同じ会社の業務でも最初に登録したもの以外の作業を任せることはできません。
その点、特定技能ビザは就労ビザという働く為のビザにカテゴリが含まれるため、日本国内で転職する事が可能になります。
ただし、特定技能ビザの中でも就ける業種は決まっているため、例えば介護士として働いていた人が建築業界に転職するなど、指定されている14業種以外への変更はできません。
これは特定技能以外の就労ビザでも同様の扱いになります。
まとめ
時代の波により、様々な要素に起因してお困りの製造業界の方々は非常に多いかと思います。
そんな中でも少し視点を変えた外国人の雇用で解決出来る問題は多くあるのです。
今後の経営手法や後世の育成の為に、外国人労働者の雇用を検討してみてはいかがでしょうか?
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