03/18 (木)更新
「高度外国人材」って?「ポイント制」って?メリットもあわせてくわしく解説!
少子高齢化が進み、若い世代の働き手の確保が重大な課題となる昨今、外国人の採用を検討されている企業様も多いのではないでしょうか。しかし、採用のプロセスや採用後のケアに不安がある、など関心はあれどまだ実行には至らないケースも多いでしょう。
ところで2014年の入管法改正に伴い「高度人材ポイント制」というものが2015年から始まっていることをご存知でしょうか。
この記事では「高度人材ポイント制」というものが何なのか、雇用する日本企業・雇用される外国人双方にどういったメリットがあるのかをわかりやすく解説していこうと思います。
高度人材ってどんな人を指すの?
例えば大学教授や研究機関の研究者、企業の経営者など、「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり,「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」と定義されています。(「平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書」より)
高度人材ポイント制って何?
先ほど述べたような高度で専門的な知識・技術を持つ外国人材に対し、一定の基準を満たすことで在留条件や規則を緩和、優遇することで日本への受け入れを促進することを目的としています。
その基準として、高度外国人材の活動を「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分け、それぞれの特性に応じて「学歴」「職歴」「年収」「年齢」「研究実績」などの項目ごとに採点しポイントをつけ、その合計が70点を超えることで晴れて「高度専門職」の資格が付与されます。
詳しい計算表はこちら (法務省 入国管理局)
どんな優遇が受けられるの?
1,複数の活動が可能に
これまでは、在留資格で認められた1つの活動以外をするのは禁止でした。しかし、高度外国人材であれば複数の資格にまたがるような活動をすこことが可能です。例えば自身の研究の成果を生かし起業する、なんてことが可能となります。
2,最長の在留期限
現行の法律での在留の最長期限は5年間ですが、高度外国人材にはそれが一律に適用されます。また、その期限を更新することができます。
3,永住権取得のための条件緩和
日本に永住する権利を得るための条件の1つに、日本に就労資格か居住資格をもって10年以上住んでいることがありますが、それが緩和されます。
高度外国人材としての活動を3年間行っている、またはポイント採点で80ポイント以上を獲得し「特に高度な外国人材」として認められた方で高度外国人材の活動を引き続き1年間行っていれば永住権許可の対象となります。
4,配偶者の就労が可能に
高度外国人材の配偶者は、学歴・職歴の条件を満たす満たさないに関わらず、在留資格「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」「興行」にあたる就労活動を、在留資格「特定活動」のもとフルタイムで行うことができます。
5,条件付きでの親の帯同の許可
本人か配偶者の7歳未満の子供の養育のため、もしくは妊娠中の本人または配偶者の介護のためであれば親の入国、在留が認められます。
ただし、外国人材の世帯収入が800万円以上であること、外国人材と同居すること、さらに外国人材本人か配偶者どちらかの一方の親に限ることが条件となります。
6,条件付きでの家事使用人の帯同の許可
従来、家事使用人の帯同が認められていたのは在留資格「経営・管理」や「法律・会計業務」などの一部に限られていましたが、高度外国人材に関しても認められます。
ただし、日本入国前に雇っていた使用人を引き続き雇う場合でも「本人の世帯年収が1,000万円以上であること」「一人までしか雇えない」「使用人に月20万円以上報酬を支払うこと」「元の国で1年以上雇い、共に入国する」もしくは「先に本人が入国しても元の国で家族が雇い続けていたこと」などが条件となります。
さらに、来日後新しい使用人を雇う場合には「13歳未満の子がいる」もしくは「病気などで配偶者が家事をできない」などの条件も加わります。
これまで説明した優遇措置と比べると少し条件が複雑かつ厳しいものになります。
7,手続きの優先処理
高度外国人材にかかる入国、在留の審査は優先的に処理をしてもらえます。
さらなる優遇を得るには
さて、ここまでお話した高度外国人材が受けられる優遇措置は「高度外国人材1号」として受けられるものでした。高度外国人材1号としての活動を3年以上行うことで、「高度専門職2号」の資格を得ることができ、さらにいくつかの優遇措置を受けられるようになります
高度専門職2号の外国人材が受けられる優遇は先述の7つの優遇措置の3番から6番の内容に加えて、
・高度専門職1号の資格では在留期限は5年間でしたが、それが無期限となる
・高度専門職1号の活動と合わせほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
といった優遇を受けることができます。
つまり、1号と2号での違いは「実質的に永住が可能になること」「転職が可能になること」の2点となります。
日本企業側のメリットとは
ここまで、高度外国人材として日本で働く外国人が受けられるメリットについて解説してきました。では、高度外国人材を受け入れる日本企業にはどういったメリットがあるのでしょうか。
若い人材を得られる
高度外国人材のポイント採点においては年齢が若いほど加算が大きくなっています。さらに1号で5年、2号なら無期限の在留期限が設定されていますが、それはつまりより長く働いてもらえる、ということが期待できます。
日本語能力に期待ができる
ポイントの加算はもちろん年齢だけではありません。日本語力の加算点もあることから日本語での意思の疎通も比較的容易なのではないでしょうか。
外国人の雇用に不安を感じる理由としてよく耳にするものが言葉の壁に対する不安です。言葉があまり通じなかったり、読み書きに不安があればトラブルなく仕事ができ円滑に人間関係を構築する、というのが必ずしもうまくいく、とはならないかもしれません。人材の日本語力がある程度担保されているのなら、そんな不安を払拭する材料としては非常に大きいのではないでしょうか。
専門的な知識・技術をもっている
「高度」外国人材という名に恥じず、専門領域の知識や技術はかなり信頼できるでしょう。学歴が高い彼らは仕事の飲み込みも早く、即戦力として活躍してくれるケースも多いです。
海外進出の戦力に
海外進出において、現地の商習慣や文化、考え方を熟知しておくことは非常に大切でしょう。外国人材の各々の出身国に向けての販路拡大や、現地工場での労働者の教育・育成での活躍の例も多数あります。
それだけではありません。例えば多くの国の人材を雇っていれば、必然的に社内に多数の言語が飛び交うことになります。それによって日本人を含めた社内全体の語学力の底上げにつながり、一層海外進出のハードルが下がることもあるのではないでしょうか。
外国人目線での製品・サービスの開発
日本人とはまるで異なった意外な着眼点や新しい発想も高度外国人材ならではのメリットでしょう。日本にいる外国人が本当に求めるものは何なのか、何を知りたいのか、または進出先の国で売れるものはなんなのかを考える上で、多方向からの視点は役立つことでしょう。
新しいビジネスモデルの創設
例えば日本と外国には時差があります。その何時間かの差を生かすことで日本の夕方に引き継いだ業務を海外の夕方に終わらせることで納期までの期間を短縮しより効率的に業務を進めることが可能という訳です。
このように国をまたぐからこそできるビジネスモデルを生み出すことにも繋がるというわけです。
(実際に高度外国人材を活用することで成功した企業のエピソードが経済産業省にまとめられています!)
まとめ
グローバル化が進む現代、生き残りをかけた企業間の競争はより熾烈なものになるでしょう。新たな需要を開拓し日々技術革新を生み出すためにも、専門的な知識や技術を持つ若く優秀な人材の獲得の競争もまた、その激しさを増すと予想されます。
世界中から引く手あまたの彼らのような優秀な人材をより多く獲得し、真価を引き出すためにも魅力的な企業づくりや柔軟な企業風土の醸成することが近道と言えます。
関連記事一覧
SELECT人気記事一覧
まだデータがありません。