07/29 (木)更新
出入国管理庁とは? 入国管理局との違いや役割を解説
近年日本の外国人の受け入れ数は年々増加しており、増加に伴って入国手続きや不法就労等のチェックの業務が非常に重要になっています。
そこで2019年4月に法務局の外局として新設された機関が「出入国在留管理庁」です。
現在は外国人労働者を雇用するためにはこの出入国在留管理庁の存在は切っても切り離せない位置にあります。
今回は出入国在留管理庁とはどんな機関なのか、今まで存在していた「入国管理局」との違いはどこにあるのか、などについて詳しくご紹介していきます。
出入国管理庁とは
出入国在留管理庁の役割を簡単に言うと、日本国内へ出入りする人を管理するための機関です。
日本に出入りする人は全てこの出入国在留管理庁の審査を受ける必要がありますし、日本へ上陸した外国人の管理も行います。
また、日本の企業で働く外国人材を受け入れるための手続きや、難民を受け入れてしかるべき対応を取るといった管理も執り行っており、外国と日本をつなげるための窓口でもあります。
外国人労働者については、「特定技能ビザ」や「技能実習ビザ」といった就労できるビザを発行することになりますが、この発行の手続きをおこなう場所こそ出入国在留管理庁となります。
法務省の外局となった理由は?
今までは法務省の一部である「入国管理局」として扱われていた機関ですが、外国人の受け入れの増加に伴い、入国管理局で取り扱う業務量が倍増していることと、国の方針として外国人材の受け入れをはじめたためさらに業務量が増えると判断され出入国在留管理庁として外局という位置づけになりました。
法務省から正式に離れて、外局となる事で省と同等の扱いとなり、職員を増やすことが可能になりますしこれからさらに増えることが見込まれている外国人材や外国人の渡航関連の手続きを円滑に行えるようになりました。
出入国在留管理庁の新設とともに、いくつか新しい部署も設置されました。
それが出入国に関する取り締まりを行う「出入国管理部」と、入国後の外国人の生活環境についてサポートする「在留管理支援部」です。
入国管理局との違いは
出入国管理庁も入国管理局も元々は同じ法務省の管轄で同じ部署でした。
そして法務省の同一部署であった時には、入国管理局の名前で統一されていました。
分裂した現在の両者のもっとも大きな違い、それは「外局」か「内局」かという点です。
当初入国管理局は内局でしたが、出入国在留管理庁の新設によって「外局」へと格上げされました。
この内局と外局の違いについて説明していきます。
法務省の外局とは
外局とは、「府」や「省」 の下に置かれる独立性の強い組織・機関のことを言います。
「内閣府」や「防衛省」「法務省」は聞いたことがあるのではないでしょうか。
外局とは、これらの下に置かれる機関で、合議制をとる「委員会」と独任制をとる「庁」があるのです。
独任制を取っている「庁」の方が、独立性の高い機関で、出入国在留管理庁は、この「庁」に当てはまります。
外局には、他にも多くの組織が存在しており、その代表例は以下の通りです。
法務省の内局とは
法務省の内局とは府や省・外局の中に設けられる組織のことを指します。
2つの決定的な違いは外局は独立した組織でしたが、内局は府や省・外局の中に設けられているため独立性がありません。
各そして様々な部署に分かれて、実際の実務を行っています。
出入国管理庁の必要性とは
先進国である日本も、現在さまざまな問題を抱えています。
その代表例ともいえるのが、「少子高齢化」です。そして、それに伴う「労働力不足」は深刻な社会問題となっています。日本では、生産年齢人口と呼ばれる15歳~64歳の人口が減少しており、今後も増加の兆しはありません。減っていく労働力をどう補っていくのか、大きなポイントとなるでしょう。
そこで国は「外国人」に目をつけました。しかし当時の出入国管理では不十分であったため、今までの入国管理局を出入国在留管理庁へと格上げしたのです。具体的に、出入国在留管理庁設置の必要性は3つあります。
1.近年の外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、今までの入国管理局の業務量が飛躍的に増大した
2.外国人労働者を受け入れる職種が増える。それに伴い、業務を推進するための体制整備が必要不可欠
3.今までの入国管理局は内部部局であり、法務省管轄。これを外局に再編することで、外国人の出入国ついて司令塔的機能を果たすことができる
また、出入国在留管理庁の新設に伴い、約320人の入国審査官が増員され、幅広い業務が可能となりました。
出入国管理庁の仕事内容とは
出入国管理庁の仕事は非常に多くあり、外国人の入国に関する業務をメインに行っています。
実際の仕事内容について説明していきます。
出入国管理の審査
まず訪日外国人のパスポートや出入国カードをチェックし、日本へ上陸できるかを適正に審査する業務です。
日本各所にある国際線のある空港や、クルーズ船の寄港するターミナルなどで実施されています。
外国人労働者の受け入れ
外国人が日本で働くためには在留資格を習得しなければなりません。
採用する企業側と働く外国人双方に不正がないかのチェック・管理も出入国在留管理庁の役割です。
ビザ更新や在留資格の管理
日本で働く為に来日している、外国人のビザの更新や在留資格の管理についての業務を行っています。
外国人の日本に滞在する許可や審査、また不法就労や不法滞在の防止や対策についての業務をしています。
在留資格のオンライン申請も可能に
2019年7月からは、在留期間更新などの手続きがオンラインで申請できるようになりました。
事前の利用申し出が必要ですが、24時間いつでも申請でき窓口に行く手間が省けるため、在留外国人にとっては非常に便利になります。
受付対象となる在留資格:外交・特定技能・短期滞在を除く、入管法別表第一の在留資格
利用できる人:外国人または法定代理人から依頼を受けた人(外国人を雇用し、外国人雇用状況届け出を提出している所属機関の職員、団体監理型技能実習生の場合は管理団体の人)、所属機関から依頼された弁護士及び行政書士
利用申し出受付開始:2019年3月29日
オンライン受付開始:2019年7月25日
オンライン対象となる手続き:在留期間更新許可申請、在留資格更新許可申請と同時に行う再入国許可申請・資格外活動許可申請
出入国管理庁のホームページで出来る事
出入国管理庁のホームページでは、オンライン上で様々な申請が出来ます。
オンラインシステムでは、「在留期間更新申請」「再入国許可申請」「資格外活動許可申請」が行えます。
ただオンラインシステムでは在留している全ての外国人が利用できるわけではありません。
利用できる在留資格(対象範囲)が定められており、外交・特定技能・短期滞在の外国人などは利用することができません。
オンラインシステムの利用には、地方出入国在留管理官署で手続きを行わなければいけません。雇用主(該当外国人の所属機関)が代表で行ったり、一部事業所のみが行うということも可能です。
オンラインシステムの注意点
オンラインシステムでは24時間申請受付を行っているので便利ですが、注意しておく点がいくつかあります。
まず、オンラインシステムで手続き申請した場合、受付日は申請を行った日付になります。出入国在留管理庁の受付窓口の業務が終了した後に申請を行っても、日付が変わらなければその日のうちに申請したことになりますし、日付を超えてしまえばその次の日付となるので注意しましょう。
まとめ
出入国管理庁の体制や役割について理解して頂きましたでしょうか?
出入国管理庁の業務については、外国人の労働者達のみが理解していればいいわけではありません。
外国人を雇用する企業もしっかり理解しておく必要があります。
外国人の労働者は在留について理解していない事もあるので、雇用した企業側が責任を持って説明してあげましょう。
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